UADx Studer A800レビュー|Drum bus・Bassに「温かみ」を足した配信DTMerの実使用報告

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tetsu7017
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Spotify・Apple Musicに楽曲を配信しているDTMer(Cubase Pro 15使用・所有プラグイン272本/48メーカー)の筆者が、制作中のハードロック・インストゥルメンタル曲「Bronze Hammer」のDrum bus・Bassトラックで実際に採用した設定を、数値ごと公開します。

「ドラムやベースにもう少し温かみが欲しい」「デジタル臭さを抜きたいが、劇的な変化は求めていない」という方に、このレビューが参考になれば幸いです。

クリックして読める「目次」

【結論】Studer A800をおすすめできる人・できない人

おすすめできる人

  • ロック・バンドサウンドをDTMで制作している
  • Drum busやBassに「温かみ・ふっくら感」を足したい
  • UADx Signature Edition V3を持っている、またはUAD製品を検討中
  • 「劇的な変化より、自然なアナログ質感」を求めている

おすすめできない人

  • 挿すだけで音が激変することを期待している
  • テープノイズ(HISS/HUM)が一切入らない環境にこだわっている
  • UAD製品を持っておらず、単体購入を検討している(コスパを重視するなら他の選択肢も)
Studer A800
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • 実機Studer A800の電子回路・磁気テープ挙動を忠実に再現
  • Drum bus・Bassなど複数箇所に挿しても自然なアナログ質感が得られる
  • UADハードウェア不要のNative版付き・永続ライセンスで買い切り
デメリット
  • 劇的な音の変化はない(「土台として効く」タイプのプラグイン)
  • 複数インスタンス使用時はテープノイズ(HISS/HUM)の累積に注意

Studer A800とは|1978年生まれのマルチトラック名機

実機の歴史

Studer A800は1978年にスイスのStuder社が発売した24トラック・2インチ・マルチトラックテープレコーダーです(出典:Mixonline「1978 Studer A800 Multitrack」2026-06-05確認)。世界初のマイクロプロセッサ制御マルチトラック機の一つとして、Radioheadの『A Moon Shaped Pool』、Jack Whiteの『Lazaretto』など数多くの作品に使用されてきました。

「マルチトラック録音用」というポジションが重要で、「各楽器を録音する工程」で使われる機材です。これが後述するATR-102との根本的な違いになります。

UADxプラグイン版の位置づけ

UADのプラグイン版は、Studer社公認のもと実機の電子回路・磁気テープ挙動を詳細にモデリングしたものです。1ライセンスにNative(UADx)版とUAD-2版が同梱されており、UADハードウェアがなくても使用できます(永続ライセンス・買い切り)。

筆者はUADx Signature Edition V3を所有しており、本記事の設定値はすべて実機での実測値です。

ATR-102(Ampex)との違い

同じUADのテーププラグインでも、Studer A800とATR-102は用途が異なります。

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Studer A800ATR-102
実機の用途マルチトラック録音機2トラックマスタリング機
挿す場所各トラック・バスマスターバス
音の変化温かみ・ふっくら感高域の痛み緩和・馴染み
筆者の使用箇所Drum bus / BassGuitar bus

筆者自身も現在使い分けを研究中であり、詳細は別記事(ATR-102レビュー)で解説しています。

主要パラメータ解説|初心者が迷う4つのポイント

テープフォーミュラ(TAPE)の選び方

プラグイン上部のTAPEノブで4種類のテープフォーミュラを選択できます。

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フォーミュラ特徴向いている用途
250クラシックなビンテージ感・柔らかい高域バラード・ポップス
4561970〜80年代スタジオ標準・クリーンで現代的ベース・クリーンギター
900高出力・モダンでパンチがあるスネア・アタック重視
GP91970年代定番・温かみと低域の粘りが強いドラムバス・ロック系

筆者のBronze Hammerでは、Drum busにGP9(ZEP初期の録音時代と一致)、BassトラックにDancehall 80’sプリセット+456を採用しています。

IPS(テープスピード)で音がどう変わるか

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IPS音の傾向向いている用途
7.5高域が丸まり低域に粘り・Lo-Fi感強めローファイ・意図的な質感付加
15バランスが良い・ロック/ポップスの標準汎用(最初の選択肢)
30最もクリアで高域の伸びが良いマスタリング・繊細なアレンジ

Bronze Hammerでは全箇所でIPS 7.5を使用しています。各プリセットをそのまま使った結果として揃ったもので、意図的に統一したわけではありません。プリセット選定がIPSにも影響することを示す実例として、正直にお伝えします。

CALレベルの意味と推奨範囲

CAL(キャリブレーション)は「テープにどの程度の強さで信号を記録するか」を決めるパラメータです。値が高いほどテープ飽和(サチュレーション)が強くなります。

  • +3(低め):自然なアナログ質感・サチュレーション控えめ
  • +6(標準):一般的なスタジオ設定のバランス
  • +7.5〜+9(高め):積極的なサチュレーション・ドライブ感

筆者のDrum busではCAL +6(標準設定)を採用しています。

SYNC / SEP(REPRO)モードの違い

  • SYNC:録音時のシンクロヘッドパスをエミュレート。わずかにラフな質感でトラッキング用途向き
  • REPRO(SEP):再生ヘッドパスをエミュレート。最もフラットで音楽的な仕上がり。ミックス向き

筆者はDrum bus・BassともにSYNCを使用しています(プリセットのデフォルト)。

【実使用・設定値全公開】Bronze Hammerでの使い方

Drum busへの挿入

UADx Studer A800をDrum busに挿入した設定画面(Drum Busプリセット・GP9)

挿入箇所:Drum bus(AD2 Blue Oysterを含む全ドラムトラックをまとめるバス)

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項目設定値
プリセットDrum Bus(UAD付属)
テープフォーミュラGP9
CAL+6
IPS15
PathSYNC
INPUT約+8(2時方向)
OUTPUT約-8(10時方向)

挿入後、ドラム全体に「温かみ・ふっくら」した質感が加わりました。劇的な変化ではありませんが、アナログ的な太さと低域の粘りが増しています。

INPUTを高め(+8)にしてテープを強くドライブさせ、OUTPUTで-8に抑えることで、音量を変えずにサチュレーションだけを稼ぐ典型的な使い方です。

Bassトラックへの挿入

UADx Studer A800をBassトラックに挿入した設定画面(Dancehall 80's・フォーミュラ456)

挿入箇所:Modo Studio Bass(ベーストラック)の末尾

チェーン:Curves AQ → AmpliTube 5 → UADx 1176 Rev A → RBass Stereo → Pro-Q 4 → Studer A800

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項目設定値
プリセットDancehall 80’s(UAD付属)
テープフォーミュラ456
CAL+7.5
IPS15
PathSYNC
INPUT約+4(1時方向)
OUTPUT約-4(11時方向)

Drum busと同様に「温かみ・ふっくら」した変化が得られました。ベースの低域に有機的な質感が付加されています。

試みたがShared Room Busから外した話

当初はDrum bus・Bassトラック・Shared Room Busの3箇所に挿入する構成を検討していました。Shared Room Busは複数トラックのアンビエンス(部屋鳴り)をまとめているバスです。

「3箇所全部にStuder A800を挿すとテープ過飽和で低域がブーミーにならないか」とGeminiに相談したところ、Shared Room Busから外す判断を推奨されました。自分の耳でも確認した結果、現在はDrum bus・Bassトラックの2箇所構成に落ち着いています。

「全トラックに挿せば良い音になる」ではなく、用途とバランスを見ながら挿入箇所を絞ることが重要です。

悪い評判・デメリットの真実

「劇的に変わらない」→ テープサチュレーションはそういうもの

Studer A800を挿した直後の印象として「思ったより変化が少ない」という声があります。筆者も同じ感想を持ちました。

ただし、これはデメリットではありません。アナログテープの質感とは本来「土台として効いているもの」であり、「ハッキリわかる変化」を求めるプラグインではないからです。「イコライザーで劇的にブーストする」ではなく「上質な機材を通すことで全体の質が上がる」感覚に近いです。

筆者のコメントをそのまま伝えると「BASSもドラムバスも温かみ、ふっくら。良かった。劇的ではないが。」これが正直なところです。

テープノイズ(HISS/HUM)問題

プラグインにはテープ特有のノイズ(HISS=高域のサー音、HUM=低域のハム音)がエミュレートされています。複数トラックに挿すと累積してノイズが目立つ場合があります。

対処法:

  • CALレベルを下げる(サチュレーションとノイズが同時に減少)
  • HISSとHUMのノブを個別にゼロに下げる(UIの右側に配置)
  • 挿入箇所をバスに限定し、個トラックへの多用を避ける

CPU負荷について

UADx(Native版)での動作時、筆者の環境(GALLERIA PC・Windows 11)では特筆すべき負荷増加は感じていません。ただし複数インスタンスを使用する場合は、バス単位での挿入に留めることを推奨します。

Studer A800 vs 競合テープエミュレーション

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Studer A800Softube TapeiZotope系
実機モデルStuder A800(公認)複数機種・非明示なし(モジュール)
操作の深さ深い(回路レベル)シンプルスイート内の一機能
用途マルチトラック汎用サチュレーションマスタリング補助
これにしかできないこと✅ Studer A800の電子回路・磁気テープ完全エミュ
向いている人実機寄りの体験を求める人手軽に質感を足したい人iZotopeユーザー

Studer A800の最大の差別化は「実機A800の挙動を電子回路レベルで再現している」点です。Softube Tapeが「使いやすいテープ感」を追求しているのに対し、Studer A800は「実機のワークフローをそのままプラグイン化する」設計思想です。

価格・購入方法|Plugin Boutiqueで買う手順

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価格
通常価格$199
ライセンス形態永続ライセンス(Native版+UAD-2版同梱)
販売場所Plugin Boutique

価格情報は2026-06-05時点での確認値です。
最新価格はPlugin Boutiqueの製品ページでご確認ください。

購入3ステップ

  1. Plugin Boutiqueのページにアクセス
  2. カートに追加し、アカウントにログイン(または新規作成)
  3. 支払い完了後、UAのダウンロードマネージャーからインストール

UADx Signature Edition V3を安く手に入れる方法|クロスグレード版という選択肢

Studer A800単体での購入を検討している場合、
UADx Signature Edition V3のクロスグレード版も選択肢に入れてみてください。

Signature Edition V3には Studer A800 をはじめ、
ATR-102・1176・LA-2A・Neve 1073など
プロ定番のUADxプラグイン多数が同梱されています。

Universal Audio
¥57,500 (2026/01/02 19:23時点 | 楽天市場調べ)

筆者はPlugin BoutiqueでUAD Studio Classics Bundleを購入後、
「Signature Edition V3 クロスグレード from ANY Bundle」に
アップグレードしました(2025年11月・¥49,300)。

単体プラグインを複数購入するより、
クロスグレード版でまとめて揃えた方がコスパが良いケースがあります。

現在のクロスグレード価格・対象バンドルの条件は
変動することがあるため、Plugin Boutiqueの製品ページで
最新情報をご確認ください。

Universal Audio
¥49,300 (2025/12/19 00:02時点 | 楽天市場調べ)

まとめ|Studer A800を買うべき人はこんな人

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タイプ判断
ロック・バンド系DTMerで
自然なアナログ質感を求めている
Plugin Boutiqueで最新価格を確認して購入
音の変化を試してから決めたい購入後の返金保証あり(Plugin Boutique規定を確認)
コスパ重視でまず無料から試したいSoftube Tape Freeなど無料版で感覚を掴んでからでも可

筆者はBronze HammerのDrum bus・Bassトラックに採用し、満足しています。「劇的ではないが良かった」という感想は、アナログテープ系プラグインの正しい評価だと思っています。

よくある質問(FAQ)

Studer A800とATR-102(Ampex)の違いは何ですか?

実機の用途が異なります。Studer A800はマルチトラック録音機、ATR-102はステレオマスタリング機です。各トラック・バスに挿すのがStuder A800、マスターバスに挿すのがATR-102という使い分けが基本です。詳細は筆者のATR-102レビュー記事をご覧ください。

UADハードウェア(Apollo等)がなくても使えますか?

はい、UADx(Native)版が含まれているため、UADハードウェアなしで通常のVSTプラグインとして使用できます。

テープノイズはオフにできますか?

はい。プラグインのHISSとHUMノブをゼロにすることでノイズ成分を除去できます。テープの質感(サチュレーション)はそのまま残ります。

Cubase Proでの使い方を教えてください。

インサートスロットに挿入するだけで使用できます。筆者はDrum busとBassトラックのインサート末尾に配置しています。パラメータ設定はプリセットから始めることをおすすめします。

出典:Mixonline「1978 Studer A800 Multitrack」/ Bedroomproducersblog 2026-05-27 / Plugin Boutique 製品ページ(2026-06-05確認)


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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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tetsu7017
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この記事を書いた人

tetsu7017のアバター tetsu7017 DTM Composer / 機構設計者 / SEO検定1級

副業マルチクリエーター

ブログ歴11年(ブランクあり・現サイト2年目)/DTM作曲、AI画像・動画制作、HP制作、ガジェットレビュー
SEO検定1級保有、IT機器機構設計エンジニア
1970年福岡生まれ、大阪住み
AIやITツールを活用しながらブログ・オリジナル曲・動画の発信を楽しんでいます。
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