UADx Ampex ATR-102 レビュー|EQで埋もれたギターが前に出てきた話【設定値公開】

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UADx Ampex ATR-102レビュー記事のアイキャッチ。ヴィンテージスタジオにテープレコーダーが置かれた1970年代風の画像
tetsu7017
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Spotify・Apple Musicに楽曲を配信しているDTMer(Cubase Pro 15使用・プラグイン272本/48メーカー所有)が、実際の制作楽曲「Bronze Hammer」のGuitar busで使った設定値をそのまま公開します。

デジタルEQで高域の痛さをカットしたら、今度はギターがオケに埋もれて平面的になってしまった。その問題をATR-102の倍音付加で解決した話です。あわせて、多くの人がハマるHISS & HUMノイズ問題の解決法も解説します。

クリックして読める「目次」

【結論】Ampex ATR-102はこんな人に向いている

向いている人:

  • EQで高域をカットしたらギターがオケに埋もれてしまった
  • デジタル臭さのない太さと抜け感を両立させたい
  • ZEP初期のようなヴィンテージ録音質感を出したい
  • 倍音付加型のエキサイター的アプローチを試したい
  • UADx Signature Edition V3をすでに所有している(バンドル収録済み)

向いていない人:

  • クリーンでフラットなデジタルサウンドを維持したい
  • CPU負荷を極力抑えたい(UADxプラグインは比較的重め)
  • Studer A800のようなマルチトラック録音感が欲しい(用途が異なる)
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Ampex ATR-102とは|Ampex社公認の実機エミュレーション

Ampex ATR-102は、1970年代から多くのマスタリングスタジオで使われてきた2トラック・テープレコーダーの実機です。Universal Audioがこのプラグインを開発するにあたり、Ampex Corporation公式の認証を受けている点が他社のテープエミュレーターと大きく異なります。

UA自身が「実機と virtually indistinguishable(ほぼ区別がつかない)」と表現するほど、実機の動作を忠実に再現しています。

UADx版の基本仕様(UA公式マニュアル確認済み・2026年6月時点):

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項目内容
対応フォーマットVST3 / AU / AAX Native
対応OSmacOS 10.15以降 / Windows 10・11
ライセンスiLokアカウント必須(Cloud対応・物理ドングル不要)
UAD-2ハード不要(UADxはネイティブ動作)
バンドルUADx Signature Edition V3に収録

UAD-2ハードウェアがなくても動作します。iLok Cloudに対応しているため、物理ドングルも不要です。


主要パラメータ解説|初心者が迷うポイントを整理

テープフォーミュラの選び方(250 / 456 / 35-90 / 111)

ATR-102のGUI右パネルに、4種類のテープフォーミュラが並んでいます。

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フォーミュラ質感の傾向向いている用途
250ブライト・クリーン現代的なサウンド
456バランス良い・汎用Mix bus全般
35-90中域に密度感ロック・バンドサウンド
111ヴィンテージ・Lo Fi・粘り強い1960〜70年代サウンド再現

「111」は最も古い世代のテープをモデルにしており、高域が自然に丸まり、低域に粘りが出ます。ZEP初期サウンドの再現には「111」が最も適していると判断しました。

IPS(テープスピード)で音の質感が変わる

IPSはテープが走る速度(Inches Per Second)です。選択肢は30 / 15 / 7.5 / 3.75の4種類。

速度が遅いほど高域が丸まり、低域の粘りが増します。

  • 30 IPS:ハイファイ・クリーン。現代的なマスタリング向け
  • 15 IPS:汎用的なバランス。多くの場面で使いやすい
  • 7.5 IPS:高域が丸まりヴィンテージ感が強まる。今回の選択
  • 3.75 IPS:極端なLo Fi効果。エフェクト的な使い方向け

RECORD / REPRODUCE レベルの関係

この2つのノブの組み合わせがATR-102の「肝」です。

  • RECORD:テープへの録音レベル。上げるほどテープが駆動し、サチュレーション(歪み)が発生します
  • REPRODUCE:テープからの再生レベル。出力の音量・太さに直結します

Auto-GainをONにすると、RECORDとREPRODUCEのどちらを調整しても、出力音量が自動補正されてゲインステージングが崩れません。実用上はAuto-Gain ONで運用するのがおすすめです。


【実使用】Bronze Hammer Guitar busでの設定値【全公開】

導入経緯と使用チェーン

制作中のハードロック・インスト「Bronze Hammer」(Led Zeppelin homage・BPM120・Eマイナー)のGuitar busにて使用。

デジタルEQで高域の痛さをカット済みでしたが、今度はギターがオケに埋もれて平面的になってしまいました。ATR-102による倍音付加でこの問題を解決する方針を採用しました。

Guitar busのチェーン構成:

SSL Native X-Comp → Pro-Q 4 → Curves Resolve → Ampex ATR-102(チェーン末尾)

ATR-102はチェーンの一番最後に配置しています。テープの「色付け」は最終段で行うのが自然です。

確定設定値一覧

実機スクリーンショット確認済みの値です(2026年6月・Bronze Hammer Guitar bus)。

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パラメータ設定値補足
プリセットVintage Type 111 Lo Fiベースとして使用
TAPE(フォーミュラ)111ヴィンテージ・Lo Fi寄りの質感
CAL+3
HEAD(テープ幅)1/4″ステレオイメージ・低域レスポンスに影響
IPS7.5高域が丸まり粘りが増す
RECORD レベル約+5 VU適度なサチュレーション発生領域
REPRODUCE レベル約+8〜10 VU出力を持ち上げ、太さに寄与
Auto-GainONゲインステージング自動補正
Emphasis EQNAB北米標準。CCIRより低域が豊か
PathREPRO
HISS & HUMOFF※後述「落とし穴」参照
WOW & FLUTTEROFF
CROSSTALKOFF
TRANSFORMEROFF

Before / After:埋もれていたギターが前に出てきた

Before(ATR-102なし):

デジタルEQで耳に刺さる高域をカットした結果、オケに埋もれてしまい、平面的でこもった印象になってしまったギターバス。痛さは取れたが、存在感も失われた状態。

After(ATR-102あり):

  • EQで失われた帯域にアナログテープ特有の音楽的な倍音が再構築された
  • 痛さはないのに、バンドの中でガッツリと前に出てくる立体的なサウンドへ
  • デジタル臭さのない太さとクリアな抜け感が両立した

テクニカル解説(中級者向け):

これは単なるテープシミュレーターとしての使い方ではなく、倍音付加型のエキサイター的アプローチです。入力レベルを突っ込んでType 111テープによるサチュレーションを引き出すことで、EQで削った帯域の「音楽的な倍音成分」を補完しています。「クリアになった」のではなく、「倍音が再構築されてクリアに聴こえる」という現象です。


【落とし穴】HISS & HUMノイズ問題と解決法

ATR-102を使い始めて最初にハマるのが、何も再生していない静止状態でもノイズが出る問題です。

原因はシンプルで、HISS & HUMボタンがONになっているためです。このボタンがONだと、実機テープレコーダーのヒスノイズ・ハムノイズを常時シミュレートします。

解決手順:

  1. ATR-102のGUIで「OPEN」ボタンを押す
  2. フロントパネルが開き、各種スイッチが表示される
  3. HISS & HUM ボタンをOFFにする

重要:OPENボタンの場所に気づくまでに時間がかかります。

GUIの左上エリアに「CLOSE」「OPEN」の2ボタンがあります。デフォルト表示ではフロントパネルが閉じた状態で、HISS & HUMなどの詳細スイッチが隠れています。「ノイズが止まらない」と悩んだら、まずOPENボタンを探してください。

UADx Ampex ATR-102のGuitar bus設定画面。テープフォーミュラ111・
        IPS 7.5・HEAD 1/4"・CAL +3を選択したプリセット「Vintage Type 111 Lo Fi」の状態
Bronze HammerのGuitar busで使用したATR-102の設定。
HISS & HUMはOFF(フロントパネルを開いて確認)

Studer A800との使い分け(暫定・研究中)

UADx Signature Edition V3にはStuder A800も収録されています。同じテープエミュレーターですが、用途が異なります。

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Ampex ATR-102Studer A800
実機の用途2トラック・マスタリング用マルチトラック・レコーディング用
向いている挿入箇所Mix bus・Guitar bus・マスタリング各トラック・Shared Room Bus
質感の傾向「仕上げ・グルー」感「録音・空間」感

私のBronze Hammerでの現在の使い分けは、Shared Room BusにStuder A800、Guitar busにATR-102という構成です。

ただし各テーププラグインの詳細な使い分けは現在研究中です。Studer A800との比較記事は別途作成予定です。


購入方法・価格|Plugin Boutiqueで買う手順

ATR-102はPlugin Boutiqueから購入できます。UADx Signature Edition V3をすでにお持ちの方は追加購入不要です(バンドル収録済み)。

Plugin Boutiqueでの購入手順(3ステップ):

  1. Plugin BoutiqueのATR-102ページをひらく
  2. 「Add to Cart」でカートに追加
  3. チェックアウト時にiLokアカウント情報を入力して購入完了

iLok Cloudに対応しているため、購入後すぐにDAWで使い始められます。

セール情報:

Plugin Boutiqueは定期的にセールを実施しています。セールは数日〜1週間程度で終了することが多いため、気になったら価格を確認してそのまま購入するのがおすすめです。次のセールまでは数ヶ月空くのが通例です。

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まとめ:UADx Ampex ATR-102を買うべき人

こんな人に特におすすめです:

EQで高域をカットしたらギターがオケに埋もれてしまった、というDTMerに向いています。ATR-102はテープサチュレーションによる倍音付加で、EQで失った帯域の音楽的な成分を再構築します。「痛さはないのに前に出てくる」立体的なサウンドを実現したいロック・ハードロック系の制作に特に有効です。

UADx Signature Edition V3をすでにお持ちの方はバンドル収録済みのため、今すぐ試せます。まだお持ちでない方は、Plugin Boutiqueのセール時が購入の好機です。

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よくある質問(FAQ)

プロジェクトを再生していないのにノイズが出ます。

HISS & HUMボタンがONになっています。GUIの「OPEN」ボタンを押してフロントパネルを開き、HISS & HUMをOFFにしてください。

UAD-2ハードウェアがないと使えませんか?

UADx版はハードウェア不要でMac・Windows上でネイティブ動作します。iLokアカウント(無料)があれば使えます。物理ドングルも不要です。

Studer A800と何が違いますか?

実機の用途が異なります。ATR-102は2トラック・マスタリング機、Studer A800はマルチトラック・レコーディング機です。Mix busやGuitar busの「仕上げ」にはATR-102、各トラックや空間感の演出にはStuder A800が向いています。ただし両者の詳細な使い分けは現在研究中です。


次の記事も、きっとあなたのお役に立ちます。気になる方はこちらからチェック!

音源プラグイン


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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