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UADx Ampex ATR-102 レビュー|EQで埋もれたギターが前に出てきた話【設定値公開】
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Spotify・Apple Musicに楽曲を配信しているDTMer(Cubase Pro 15使用・プラグイン272本/48メーカー所有)が、実際の制作楽曲「Bronze Hammer」のGuitar busで使った設定値をそのまま公開します。
デジタルEQで高域の痛さをカットしたら、今度はギターがオケに埋もれて平面的になってしまった。その問題をATR-102の倍音付加で解決した話です。あわせて、多くの人がハマるHISS & HUMノイズ問題の解決法も解説します。
クリックして読める「目次」
【結論】Ampex ATR-102はこんな人に向いている
向いている人:
- EQで高域をカットしたらギターがオケに埋もれてしまった
- デジタル臭さのない太さと抜け感を両立させたい
- ZEP初期のようなヴィンテージ録音質感を出したい
- 倍音付加型のエキサイター的アプローチを試したい
- UADx Signature Edition V3をすでに所有している(バンドル収録済み)
向いていない人:
- クリーンでフラットなデジタルサウンドを維持したい
- CPU負荷を極力抑えたい(UADxプラグインは比較的重め)
- Studer A800のようなマルチトラック録音感が欲しい(用途が異なる)
Ampex ATR-102とは|Ampex社公認の実機エミュレーション
Ampex ATR-102は、1970年代から多くのマスタリングスタジオで使われてきた2トラック・テープレコーダーの実機です。Universal Audioがこのプラグインを開発するにあたり、Ampex Corporation公式の認証を受けている点が他社のテープエミュレーターと大きく異なります。
UA自身が「実機と virtually indistinguishable(ほぼ区別がつかない)」と表現するほど、実機の動作を忠実に再現しています。
UADx版の基本仕様(UA公式マニュアル確認済み・2026年6月時点):
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応フォーマット | VST3 / AU / AAX Native |
| 対応OS | macOS 10.15以降 / Windows 10・11 |
| ライセンス | iLokアカウント必須(Cloud対応・物理ドングル不要) |
| UAD-2ハード | 不要(UADxはネイティブ動作) |
| バンドル | UADx Signature Edition V3に収録 |
UAD-2ハードウェアがなくても動作します。iLok Cloudに対応しているため、物理ドングルも不要です。
主要パラメータ解説|初心者が迷うポイントを整理
テープフォーミュラの選び方(250 / 456 / 35-90 / 111)
ATR-102のGUI右パネルに、4種類のテープフォーミュラが並んでいます。
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| フォーミュラ | 質感の傾向 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 250 | ブライト・クリーン | 現代的なサウンド |
| 456 | バランス良い・汎用 | Mix bus全般 |
| 35-90 | 中域に密度感 | ロック・バンドサウンド |
| 111 | ヴィンテージ・Lo Fi・粘り強い | 1960〜70年代サウンド再現 |
「111」は最も古い世代のテープをモデルにしており、高域が自然に丸まり、低域に粘りが出ます。ZEP初期サウンドの再現には「111」が最も適していると判断しました。
IPS(テープスピード)で音の質感が変わる
IPSはテープが走る速度(Inches Per Second)です。選択肢は30 / 15 / 7.5 / 3.75の4種類。
速度が遅いほど高域が丸まり、低域の粘りが増します。
- 30 IPS:ハイファイ・クリーン。現代的なマスタリング向け
- 15 IPS:汎用的なバランス。多くの場面で使いやすい
- 7.5 IPS:高域が丸まりヴィンテージ感が強まる。今回の選択
- 3.75 IPS:極端なLo Fi効果。エフェクト的な使い方向け
RECORD / REPRODUCE レベルの関係
この2つのノブの組み合わせがATR-102の「肝」です。
- RECORD:テープへの録音レベル。上げるほどテープが駆動し、サチュレーション(歪み)が発生します
- REPRODUCE:テープからの再生レベル。出力の音量・太さに直結します
Auto-GainをONにすると、RECORDとREPRODUCEのどちらを調整しても、出力音量が自動補正されてゲインステージングが崩れません。実用上はAuto-Gain ONで運用するのがおすすめです。
【実使用】Bronze Hammer Guitar busでの設定値【全公開】
導入経緯と使用チェーン
制作中のハードロック・インスト「Bronze Hammer」(Led Zeppelin homage・BPM120・Eマイナー)のGuitar busにて使用。
デジタルEQで高域の痛さをカット済みでしたが、今度はギターがオケに埋もれて平面的になってしまいました。ATR-102による倍音付加でこの問題を解決する方針を採用しました。
Guitar busのチェーン構成:
SSL Native X-Comp → Pro-Q 4 → Curves Resolve → Ampex ATR-102(チェーン末尾)
ATR-102はチェーンの一番最後に配置しています。テープの「色付け」は最終段で行うのが自然です。
確定設定値一覧
実機スクリーンショット確認済みの値です(2026年6月・Bronze Hammer Guitar bus)。
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| パラメータ | 設定値 | 補足 |
|---|---|---|
| プリセット | Vintage Type 111 Lo Fi | ベースとして使用 |
| TAPE(フォーミュラ) | 111 | ヴィンテージ・Lo Fi寄りの質感 |
| CAL | +3 | |
| HEAD(テープ幅) | 1/4″ | ステレオイメージ・低域レスポンスに影響 |
| IPS | 7.5 | 高域が丸まり粘りが増す |
| RECORD レベル | 約+5 VU | 適度なサチュレーション発生領域 |
| REPRODUCE レベル | 約+8〜10 VU | 出力を持ち上げ、太さに寄与 |
| Auto-Gain | ON | ゲインステージング自動補正 |
| Emphasis EQ | NAB | 北米標準。CCIRより低域が豊か |
| Path | REPRO | |
| HISS & HUM | OFF | ※後述「落とし穴」参照 |
| WOW & FLUTTER | OFF | |
| CROSSTALK | OFF | |
| TRANSFORMER | OFF |
Before / After:埋もれていたギターが前に出てきた
Before(ATR-102なし):
デジタルEQで耳に刺さる高域をカットした結果、オケに埋もれてしまい、平面的でこもった印象になってしまったギターバス。痛さは取れたが、存在感も失われた状態。
After(ATR-102あり):
- EQで失われた帯域にアナログテープ特有の音楽的な倍音が再構築された
- 痛さはないのに、バンドの中でガッツリと前に出てくる立体的なサウンドへ
- デジタル臭さのない太さとクリアな抜け感が両立した
テクニカル解説(中級者向け):
これは単なるテープシミュレーターとしての使い方ではなく、倍音付加型のエキサイター的アプローチです。入力レベルを突っ込んでType 111テープによるサチュレーションを引き出すことで、EQで削った帯域の「音楽的な倍音成分」を補完しています。「クリアになった」のではなく、「倍音が再構築されてクリアに聴こえる」という現象です。
【落とし穴】HISS & HUMノイズ問題と解決法
ATR-102を使い始めて最初にハマるのが、何も再生していない静止状態でもノイズが出る問題です。
原因はシンプルで、HISS & HUMボタンがONになっているためです。このボタンがONだと、実機テープレコーダーのヒスノイズ・ハムノイズを常時シミュレートします。
解決手順:
- ATR-102のGUIで「OPEN」ボタンを押す
- フロントパネルが開き、各種スイッチが表示される
- HISS & HUM ボタンをOFFにする
重要:OPENボタンの場所に気づくまでに時間がかかります。
GUIの左上エリアに「CLOSE」「OPEN」の2ボタンがあります。デフォルト表示ではフロントパネルが閉じた状態で、HISS & HUMなどの詳細スイッチが隠れています。「ノイズが止まらない」と悩んだら、まずOPENボタンを探してください。
Studer A800との使い分け(暫定・研究中)
UADx Signature Edition V3にはStuder A800も収録されています。同じテープエミュレーターですが、用途が異なります。
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| Ampex ATR-102 | Studer A800 | |
|---|---|---|
| 実機の用途 | 2トラック・マスタリング用 | マルチトラック・レコーディング用 |
| 向いている挿入箇所 | Mix bus・Guitar bus・マスタリング | 各トラック・Shared Room Bus |
| 質感の傾向 | 「仕上げ・グルー」感 | 「録音・空間」感 |
私のBronze Hammerでの現在の使い分けは、Shared Room BusにStuder A800、Guitar busにATR-102という構成です。
ただし各テーププラグインの詳細な使い分けは現在研究中です。Studer A800との比較記事は別途作成予定です。
購入方法・価格|Plugin Boutiqueで買う手順
ATR-102はPlugin Boutiqueから購入できます。UADx Signature Edition V3をすでにお持ちの方は追加購入不要です(バンドル収録済み)。
Plugin Boutiqueでの購入手順(3ステップ):
- Plugin BoutiqueのATR-102ページをひらく
- 「Add to Cart」でカートに追加
- チェックアウト時にiLokアカウント情報を入力して購入完了
iLok Cloudに対応しているため、購入後すぐにDAWで使い始められます。
セール情報:
Plugin Boutiqueは定期的にセールを実施しています。セールは数日〜1週間程度で終了することが多いため、気になったら価格を確認してそのまま購入するのがおすすめです。次のセールまでは数ヶ月空くのが通例です。
まとめ:UADx Ampex ATR-102を買うべき人
こんな人に特におすすめです:
EQで高域をカットしたらギターがオケに埋もれてしまった、というDTMerに向いています。ATR-102はテープサチュレーションによる倍音付加で、EQで失った帯域の音楽的な成分を再構築します。「痛さはないのに前に出てくる」立体的なサウンドを実現したいロック・ハードロック系の制作に特に有効です。
UADx Signature Edition V3をすでにお持ちの方はバンドル収録済みのため、今すぐ試せます。まだお持ちでない方は、Plugin Boutiqueのセール時が購入の好機です。
よくある質問(FAQ)
プロジェクトを再生していないのにノイズが出ます。
HISS & HUMボタンがONになっています。GUIの「OPEN」ボタンを押してフロントパネルを開き、HISS & HUMをOFFにしてください。
UAD-2ハードウェアがないと使えませんか?
UADx版はハードウェア不要でMac・Windows上でネイティブ動作します。iLokアカウント(無料)があれば使えます。物理ドングルも不要です。
Studer A800と何が違いますか?
実機の用途が異なります。ATR-102は2トラック・マスタリング機、Studer A800はマルチトラック・レコーディング機です。Mix busやGuitar busの「仕上げ」にはATR-102、各トラックや空間感の演出にはStuder A800が向いています。ただし両者の詳細な使い分けは現在研究中です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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