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UAD Ocean Way Studios Deluxeレビュー|自作曲のドラムと管弦に使った設定・Re-Micを見送った理由・CPU負荷の実測
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はじめに
「ドラムの音がどうしてもDTMっぽい。」
制作中のハードロックインスト Bronze Hammer のミックス作業中、ずっとそこが引っかかっていた。ドラムの音自体は悪くない。AD2のBlue Oysterを使い、ベロシティも丁寧に揺らした。コンプも試行錯誤した。でも、なぜかスタジオで録ったような「空気の厚み」が出ない。
そこで投入したのが UAD Ocean Way Studios Deluxe だ。
ミックスリファレンスはLed ZeppelinのImmigrant Song(1970)とCommunication Breakdown(1969)。あのドラムの「部屋の鳴り」——John Bonhamのキックとフロアタムがあの空間に溶け込んだあの質感を出したくて、このプラグインに行き着いた。
このレビューは、制作中の Bronze Hammer と、2026年10月に完成させた Blue Lagoon のミックスで、実際に使った経験をもとに書いている。
UAD Ocean Way Studios Deluxeとは
UADx(Universal Audio)の看板リバーブプラグイン。音楽史上最も有名なスタジオのひとつであるOcean Way Studiosの伝説的な部屋、リバーブチェンバー、マイクのサウンドを、UA独自の Dynamic Room Modeling技術 でプロダクションに加えられる。
Ray Charles、Frank Sinatra、Whitney Houston、Radiohead、Beckなど数多の名盤が生まれたスタジオの空気を、自分のトラックに持ち込めるツールだ。
2025年11月リリースのDeluxe版で追加された要素(UAD公式FAQ・2026年6月取得)
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| 追加要素 | 内容 |
|---|---|
| リバーブチェンバー | Bill Putnam Sr.設計の3室 |
| アナログコンソール | Focusrite・Dalconの2モデル |
| アウトボードギア | Fairchild・LA-2A・1176・dbx 160 |
UADハードウェア不要(UAD Native plug-in / iLokアカウント無料・UA Connect無料で動作)
筆者の使い方①:制作中の Bronze Hammer(ドラム)
Bronze Hammer は制作中の曲で、ミックスの設定はまだ変わり続けている。ここでは考え方と、比較動画を載せる。完成した曲での設定は、次の見出しで紹介する。
Bronze HammerはBPM 120のハードロックインスト。Cubase Pro 15・AD2(Blue Oyster ADpak)で制作中。
Shared Room Busの構成
各ドラムパーツ(キック・スネア・ハイハット・タム・オーバーヘッド)を個別コンプ後、専用のリバーブバスにSendし、そのバスにOcean Way Studios Deluxeをインサート。各トラックのSend量でルームの深さをコントロールする構成にしている。
おおまかな設定の方向性
実際の設定
エフェクトチャンネルに Ocean Way を挿し、MIX の下の SOLO をオンにして(リバーブ音だけを出す)、量は各トラックからのセンドで決めている。
筆者の使い方②:完成曲 Blue Lagoon(ドラムと管弦楽)
2026年10月に完成させた自作曲「Blue Lagoon」では、Ocean Way のエフェクトチャンネルを2本立てた。ドラム用と、管弦楽用だ。
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| ドラム用(Drum OSW) | 管弦楽用(Oche OSW Midle) | |
|---|---|---|
| STUDIO | B | A |
| SOURCE | DRUMS | ENSEMBLE |
| MODE | REVERB | REVERB |
| CLOSE | ミュート | ミュート |
| ROOM 1 | KU3A・13.9 ft | KU3A・14.7 ft |
| ROOM 2 | MKH20・27.7 ft | M50・18.3 ft |
| SOLO | オン(リバーブ音だけ) | オン(リバーブ音だけ) |
| 送っている楽器 | キック・タム・ハイハット・オーバーヘッドなど(スネアは除く) | ストリングス・ホーン・サックス |
スネアは別のリバーブにした
スネアと一部のパーカッションは、Ocean Way ではなく、プレートリバーブにゲートをかけたチャンネル(Pure Plate → Pro-Q 4 → Gate)へ送った。80年代を意識したゲートリバーブにしたかったからだ。
管弦楽は Studio A の1台にまとめた
ストリングス・ホーン・サックスは、別々に作った音源だ。それでも、ENSEMBLE 設定の Ocean Way 1台にまとめて送ったところ、問題なく同じ部屋に並んだ。アンサンブルには Studio A が向いているという話を聞いて、Studio A にしている。
ストリングスをもう少し明るくしたくて、マイクと距離を替えてみたが、差は小さかったので元に戻した。
Re-Mic は鍵盤とピアノで試したが、見送った
Ocean Way には、録音済みの音を部屋で鳴らし直す Re-Mic モードもある。鍵盤とピアノで試したが、どちらも合わず、使わなかった。サックスは Re-Mic と REVERB を聴き比べて、REVERB を選んでいる。
ギターには Ocean Way ではなく、同じ UA の Sound City Studios を使った。
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【実測】CPU負荷:Sound City より軽かった
測定環境
- CPU:Intel Core i7-14700F/メモリ:32GB
- DAW:Cubase Pro 15/44.1kHz・24bit/バッファーサイズ 1024 samples/オーディオインターフェース:Steinberg UR22mkII
- バージョン:UADx Ocean Way Studios Deluxe v1.0.1/UADx Sound City Studios v1.0.8/Sunset Sound Studio Reverb 2 v1.0.2
- 方法:空のプロジェクトにオーディオトラックを1本だけ作り、Blue Lagoon の音源をループ再生。プラグインを1つだけ挿して、ASIO-Guard の値を読んだ。挿す前の値は、インサートの電源をオフにした状態で読んだ(2026-10-12 は 1.21%)
- ASIO-Guard の値を見た理由:再生するだけのトラックは、Cubase では ASIO-Guard の側で処理されるため(出典:Steinberg「Details on ASIO-Guard in Cubase and Nuendo」)
測定結果
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| プラグイン(設定) | 挿す前との差 | 測った日 |
|---|---|---|
| UADx Ocean Way Studios Deluxe(REVERB・Default・DRUMS・Studio B) | +10.02ポイント | 2026-10-12 |
| UADx Sound City Studios(REVERB・Default) | +17.30ポイント | 2026-10-11 |
| Sunset Sound Studio Reverb 2(Welcome・A の LIVE ROOM のみ) | +4.61ポイント | 2026-10-12 |
| Sunset Sound Studio Reverb 2(B の CHAMBER も鳴らす) | +5.50ポイント | 2026-10-12 |
各条件1回・約10秒の測定で、プリセットは製品ごとに違う。この環境・この条件での値として見てほしい。Ocean Way は 2026-10-11 にも測っており、+9.23ポイントだった。日が変わっても差は1ポイント以内だった。
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特に効果を感じた3つのポイント
① ドラムが「浮かなくなった」
DTMでありがちな「スネアが空中に浮いて聴こえる」現象。Ocean Wayを挿した瞬間、スネアが部屋の空間にスッと馴染んだ。同じ空間に存在する感覚。
② キックに「重力」が出た
Ocean Wayのルームを足した瞬間、キックが「地面を踏む音」になった。Immigrant Songのあの質感に少し近づいた感覚がある。低域の物理的な存在感は、IRリバーブでは出しにくい。
③ 全体のまとまりが出た
ドラムバスにかけることで、バラバラだったパーツが「同じ空間にいる」感じになる。これがルームリバーブの本質的な役割だと改めて実感した。
他のUADxリバーブとの棲み分け
UADx Signature Edition V3を所有しているため、リバーブは複数手元にある。実際の使い分けはこうなっている。
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| 用途 | プラグイン |
|---|---|
| 80sプレート(ボーカル・スネア) | UADx Pure Plate |
| 80sホール(Lexicon系の質感) | UADx Lexicon 224 |
| ロックドラムのルーム | Ocean Way Studios Deluxe ← 今回 |
| City Popボーカル空間 | UADx Lexicon 224 |
| モータウン系の空気感 | UADx Hitsville Chambers |
Ocean Way Studios DeluxeはLexicon 224のような「キャラクター系リバーブ」ではなく、「部屋の実在感を足すツール」として使うのが正解だと感じている。
UADxスタジオ系リバーブ 4製品比較
UADxには「実在する名門スタジオの録音空間を再現する」プラグインが複数ある。単なる空間系エフェクトではなく、部屋・マイク・コンソール・アウトボードまで含む「録音チェーン全体の再現」というコンセプトが共通している。
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| プラグイン | コンセプト | 得意なソース | 一言 |
|---|---|---|---|
| Ocean Way Studios Deluxe | Re-Mic(仮想再マイキング)による空間再構築 | ドラム・ストリングス・ブラス | 打ち込み音源に「本物の空気」を吹き込む。部屋の実在感を足すツール |
| Sound City Studios | スタジオ録音チェーン全体の再現 | ドラム・エレキギター・アコギ | 部屋の鳴りだけでなくコンソールまで含めた「ロックな鳴り」を丸ごとデザイン |
| Capitol Chambers | 象徴的な地下エコーチェンバーの精密モデル | リードボーカル・ストリングス | 深くかけても芯がぼやけない。Hi-Fiで艶やかな高級感 |
| Hitsville Reverb Chambers | モータウン屋根裏チェンバーのキャラクター付与 | ボーカル・コーラス・ハンドクラップ | 明るく歯切れの良い独特のキャラクター。薄くかけるだけでレトロな空気感 |
使い分けの核心:
Ocean Way はドライな打ち込み音源を「スタジオ内の最適な位置に仮想配置してマイクで再収音する」発想で使う。ルームリバーブのセンドリターンが基本。
Sound City はインサートで立ち上げ、音源自体を「Sound Cityの録音チェーンを通した音」に染め上げるアプローチが強力。NirvanaやLed Zeppelin的なロックの質感を出したい時に特に効く。
Capitol Chambers は音の「高級感と奥行き」を足すツール。ポップス・バラードのボーカルに薄くかけるだけで格が上がる。
Hitsville はモータウン・R&Bのキャラクターを付与したい時専用。他の3つと用途が完全に分かれているため、競合しない。
4製品すべてUADx Signature Edition V3に含まれているため、バンドルで入手するのが圧倒的にコスパが高い。
注意点
CPU負荷は高め
UAD公式マニュアルによれば、他のUADプラグインよりレイテンシーが大きく、特にRe-Micモード使用時・個別トラックのReverb modeで顕著。トラッキング中はsend/return構成での使用が推奨されている。複数インスタンスを立ち上げる場合はFreezeを活用する。
筆者の環境では、REVERB モードで ASIO-Guard が約9〜10ポイント上がった(上の実測)。
インストールにUA Connectが必要
購入後はUA Connectアプリ(無料)でライセンスをActivateしてからDAWで使用できる。iLokアカウント(無料)も必要。
Deluxe版一択
チェンバー・コンソール・アウトボードなどが、Deluxe版で加わった要素。Re-Mic モードは旧版の Ocean Way Studios にもある(出典:Ocean Way Studios Manual(UA))。これから購入するならDeluxe一択。
リバーブバスにはローカットを入れると効果あり
Shared Room BusのSend先トラックに、CubaseチャンネルストリップのEQ(バンド1 LO)でハイパスフィルターを設定している。カットオフは曲に合わせて300Hz や 200Hzにしている。

Ocean Way Studios Deluxeは極めてリアルな部屋鳴りを再現するため、キックの低域もそのまま反響する。ローカットを入れることで低域の過剰な回り込みを防ぎ、キックのアタック感が締まった。ロック系ドラムでモタつきを感じた場合はリバーブバスへの300Hzローカットを試してほしい。
価格・購入方法
Ocean Way Studios Deluxe を単体で買う場合は、この記事の中にある Ocean Way Studios Deluxe のボタンから、販売中のお店を確認してほしい。
バンドル購入(UADxを複数使いたい場合)
筆者はUADx Signature Edition V3のクロスグレード版を49,300円で購入した。Ocean Way Studios Deluxe もこのバンドルに入っている。UADxプラグインを複数使う予定なら、バンドルも選択肢になる。
※2026年10月時点で、Plugin Boutique では取り扱いが終わっていた。下のボタンから、販売中のお店を確認してほしい。筆者が買ったクロスグレード版は、販売が終わっている。
商品レビュー
良い点(メリット)
- ストリングス・ホーン・サックスを、ENSEMBLE 設定の1台にセンドでまとめても、同じ部屋に自然に並んだ
- 同じUAの Sound City Studios より CPU 負荷が軽かった(筆者の実測)
- UAD ハードウェアなしで動く
気になる点(デメリット)
- 1台で ASIO-Guard が約10ポイント上がる(筆者の環境)。センドで1台を共有するのがおすすめ
- Re-Mic は楽器を選ぶ(鍵盤・ピアノでは合わなかった)
- インストールに UA Connect と iLok のアカウントが必要
こんな人におすすめ
- ロック・ハードロック系のドラムに「スタジオの空気」を入れたいDTMer
- 打ち込みドラムのDTMっぽさに悩んでいる人
- UADx Signature Edition V3を検討中で、リバーブの質を確認したい人
まとめ

メリット
- ストリングス・ホーン・サックスを、ENSEMBLE 設定の1台にセンドでまとめても、同じ部屋に自然に並んだ
- 同じUAの Sound City Studios より CPU 負荷が軽かった(筆者の実測)
- UAD ハードウェアなしで動く
デメリット
- 1台で ASIO-Guard が約10ポイント上がる(筆者の環境)。センドで1台を共有するのがおすすめ
- Re-Mic は楽器を選ぶ(鍵盤・ピアノでは合わなかった)
- インストールに UA Connect と iLok のアカウントが必要
UAD Ocean Way Studios Deluxeは「空気を売るプラグイン」だ。音色を変えるのではなく、音が存在する空間を作る。
完成させた Blue Lagoon では、ドラムを Studio B、管弦楽を Studio A に送るだけで、打ち込みの楽器が同じ空間に並んだ。Re-Mic は楽器を選ぶが、REVERB モードをセンドで使う分には扱いやすく、負荷も Sound City より軽い結果だった。
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よくある質問
UADハードウェア(Apolloなど)がないと使えませんか?
使えます。UAD Ocean Way Studios DeluxeはUAD Native plug-inのため、ハードウェア不要です。iLokアカウント(無料)とUA Connect(無料)があればMac・Windows両対応で動作します。
購入後のインストール手順は?
①販売店で購入 → ②UA ConnectでActivate License → ③DAWで使用開始の3ステップです。
オリジナルのOcean Way Studiosを持っています。Deluxeへのアップグレード価格はありますか?
あります。UAD公式によれば、オリジナル版所有者は$49のアップグレード価格が適用されます。UADストアでログイン後に確認できます。
UADx Signature Edition V3に含まれていますか?
含まれています。Signature Edition V3を購入するとOcean Way Studios Deluxeが使えます。
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