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昔の音を再現したいDTMer必見!1960〜2020年代のミキシング・マスタリング技術と名機まとめ
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音楽制作では、時代ごとにEQ(イコライザー)・コンプレッサー・リバーブという基本処理の使い方が変化してきました。本記事では、各年代の代表的音源と技術的特徴、さらに代表機材も含めて整理します。
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年代別:代表音源とミキシング・マスタリング特徴
時代 | 代表音源 | 特徴と技術傾向 |
---|---|---|
1960年代 | The Beatles「Abbey Road」、 Beach Boys「Pet Sounds」 | テープ録音中心。中域重視で温かみのある音。 リバーブ(プレート・エコーチャンバー)多用、定位も比較的シンプル。 |
1970年代 | Pink Floyd「The Dark Side of the Moon」、 Fleetwood Mac「Rumours」 | アナログ卓(Neve/APIなど)で音作り。 空間感と深みを重視。ミックスの“奥行き”を意識。 |
1980年代 | Michael Jackson「Thriller」、 Prince「Purple Rain」 | デジタル機器導入。 ゲートリバーブドラムが象徴的。 高域の鮮明さやステレオ感を強調。 |
1990年代 | Nirvana「Nevermind」、 Mariah Carey「Daydream」 | クリアでパンチのある音。 リバーブは控えめ。 音の分離と明瞭感を重視。 |
2000年代 | Daft Punk「Discovery」、 Linkin Park「Hybrid Theory」 | DAW+プラグイン主体の制作。 マルチバンドEQ/コンプで音圧と透明感を両立。 |
2010〜2020年代 | Adele「21」、 Billie Eilish「When We All Fall Asleep…」、 Taylor Swift「Midnights」など | 音圧競争の極点化。 AI補正・自動化も導入。 リバーブは控えめで “近さ” を意識する傾向。 |
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代表機材と処理傾向:EQ/コンプ/リバーブ
区分 | 代表機材 | その役割・特色 |
---|---|---|
EQ | Pultec EQP-1A、 Neve 1073、 API 550A、 SSL “Black Knob” EQ、 FabFilter Pro-Q など | 初期は真空管・パッシブ型で“音色付け”が重要。 後年はパラメトリック化、モデリング、動的EQ導入。 (参照:The History of EQ in the Studio) |
コンプレッサー/ ダイナミクス処理 | Fairchild 670、 Teletronix LA-2A、 Urei 1176、 dbx 160、 SSLバスコンプ、 マスタリング用リミッター | 60〜70年代は温かく滑らかな圧縮。 80年代以降はパンチやまとまりを意識。 ラウドネス戦争期には強い圧縮・リミッティング。 (参照:The History of Compressors) |
リバーブ/ 残響 | EMT 140 プレート、 スプリングリバーブ、 AMS RMX16、 Lexicon 224/480L、 Altiverb、Valhalla 系プラグイン | 初期は物理プレート・エコーチャンバー。 80年代以降デジタル・アルゴリズミックリバーブ全盛。 2000年代以降、コンボリューションや 質感重視のリバーブも普及。 |
補足事例:
- SSL 4000 シリーズの “Listen Mic” 回路に起因するゲートリバーブの誤作用が、Phil Collins の “In the Air Tonight” ドラムに応用されたという逸話もあります。
- “Wall of Sound” 制作手法では重層オーバーダビングとともにエコーチャンバーを活用し、密度あるサウンドを作り出したという説明もあります。
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1960〜2020年代のミキシング/マスタリング主要機材リスト
EQ・コンプレッサー・リバーブを中心に、代表的モデルとその特徴を表にまとめました。
(※プロフェッショナル現場での象徴的機材を抜粋)
1960年代:アナログ黎明期(温かみと丸み)
区分 | 代表機材 | 特徴 |
---|---|---|
EQ | Pultec EQP-1A | 真空管EQ。高域のシルキーなブースト。低域の厚み。 |
コンプレッサー | Fairchild 670, Teletronix LA-2A | 滑らかで温かい真空管圧縮。ボーカルに最適。 |
リバーブ | EMT 140 Plate Reverb | プレート方式。艶のある残響。60年代ポップの象徴。 |
1970年代:ロック黄金期・テープサウンド
区分 | 代表機材 | 特徴 |
---|---|---|
EQ | Neve 1073, API 550A | 太く音楽的。ロック定番のアナログコンソールEQ。 |
コンプレッサー | Urei 1176, dbx 160 | 速いアタックでパンチを出す。ドラムやベースに。 |
リバーブ | AKG BX20, EMT 250(初期デジタル) | 深みのあるプレート+スプリング残響。 |
1980年代:デジタル革命とリバーブ全盛
区分 | 代表機材 | 特徴 |
---|---|---|
EQ | SSL 4000E Channel EQ, Sony Oxford EQ | シャープで明るいトーン。明瞭感を強調。 |
コンプレッサー | SSL Bus Compressor, Drawmer 1960 | ステレオバス圧縮で“まとまり感”。 |
リバーブ | Lexicon 224 / 480L, AMS RMX16 | デジタル特有の透明で広大な空間。ゲートリバーブの象徴。 |
1990年代:クリアで精密、CDサウンド
区分 | 代表機材 | 特徴 |
---|---|---|
EQ | GML 8200, Avalon 2055 | クリーンで正確なEQ。高域の伸びを重視。 |
コンプレッサー | Manley Vari-Mu, Waves L1 Limiter | 音圧を上げつつ自然な質感を保持。 |
リバーブ | TC Electronic M3000, Lexicon PCM91 | デジタルながらナチュラルな残響。過剰な深さを排除。 |
2000年代:DAW主流とプラグイン時代
区分 | 代表機材/プラグイン | 特徴 |
---|---|---|
EQ | FabFilter Pro-Q, Waves SSL EQ | 周波数解析しながら精密補正。アナログ風も可能。 |
コンプレッサー | Waves CLA-76, UAD LA-2A / 1176 | 名機を再現したデジタルモデリング。 |
リバーブ | Altiverb, Valhalla Room | 実空間を再現するコンボリューションリバーブ登場。 |
2010〜2020年代:AI・ハイブリッド・ストリーミング時代
区分 | 代表機材/プラグイン | 特徴 |
---|---|---|
EQ | Ozone EQ, Neutron 4, Soothe2 | AI補正・動的EQ。耳障り帯域を自動除去。 |
コンプレッサー | FabFilter Pro-C2, TDR Kotelnikov, Smart:Comp 2 | 透明感・知的圧縮。音圧と自然さを両立。 |
リバーブ | Valhalla VintageVerb, LiquidSonics Seventh Heaven | アナログ感+立体音響対応。Lo-Fi表現も併用。 |
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各年代における EQ カーブ傾向(周波数帯域別)
時代 | 低域 (〜200Hz) | 中域 (200Hz〜3kHz) | 高域 (3kHz〜) | 総合傾向 |
---|---|---|---|---|
1960〜70年代 | やや強調、丸み重視 | 主役帯域として温かみを重視 | 控えめにロールオフ | 中域中心で温かく、定位や厚みを重視 |
1980年代 | キック/ベースのアタック重視 | 中域はやや整理ぎみ | 高域を明るく “抜け” を強調 | 華やかで広がりを重視したトーン |
1990年代 | 低域をタイト化 | クリア化、不要帯域カット | 空気感を重視して高域を伸ばす | 分離感・明瞭感重視の調整 |
2000年代以降 | 50〜120Hzあたりを補強/制御 | 中域を整理しつつ密度を維持 | 10kHz 以上を適度に強調 | 音圧と透明感を両立するバランス設計 |
2010〜2020年代 | サブベースからローを慎重に扱う | AI補正や動的EQで帯域移動もあり | 空気感・ナチュラルさを重視した高域 | 自然さと立体感を兼ね備えた “最適化音質” |
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出典
- 「How the 1990s Changed Recording and Music Production」 (Reverb) (reverb.com)
- 「Mastering Music: A Century Of History」 (Sonarworks)
- 「The Evolution of Music Production Technology: From Analog to Digital and Beyond」 (Illustrate Magazine)
- 「Adoption of AI Technology in the Music Mixing Workflow: An Investigation」(Cornel University)(arXiv)
- 「Solid State Logic SL 4000」(Wikipedia)
- 「Wall of Sound」(Wikipedia)
- 「The History Of Compressors In The Studio」(Vintage King)
- 「The History of EQ in the Studio」(Vintage King)
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まとめと今後の展望
- 各年代を通じて、処理方法や機材が進化してきましたが、「音楽的判断」「リファレンストラックとの比較」は常に重要です。
- 最近では AI/自動化/プラグイン技術 がミキシング・マスタリング領域にも浸透し始めています。たとえば AI 補正ツールや自動マスタリングなども議論されています。
- 一方で、古典機材の“個性”を模擬するアナログモデリングやハイブリッド制作スタイルも根強く残っています。
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